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Q&A(事業者の方へ)


Q. うつ病はどうしてなるのでしょうか?

Q. うつ病はどの程度よくなると働けるようになるのでしょうか?

Q. 統合失調症と診断された方は就業できるのでしょうか?

Q. 仕事以外では元気なのにうつ病でしょうか?

Q. 何種類もの薬を数年のんでいますが、いっこうに治りません。このまま飲み続けるべきでしょうか?

Q. セカンドオピニオン(他の医師の診断)を希望していますが、
  今の先生に話すともう診てもらえなくなるのではないか心配です。どうすればよいでしょうか?


Q. 事業場内に相談窓口を設置する際に具体的にどのようなことに留意したらいいでしょう?

Q. 管理監督者が部下のメンタルヘルスの問題で困った際には誰に相談すればいいのでしょう?

Q. 会社が契約している相談機関の電話相談やメール相談を利用したいのですが、
  相談内容などは会社に分かってしまうのでしょうか?


Q. 私は派遣労働者ですが、派遣先の産業保健スタッフに相談できるのでしょうか?

Q. 以前から晩酌の習慣がありますが、最近はよく眠れないために寝酒として飲むようになりもう1か月になります。
  このまま続けていて大丈夫でしょうか?


Q. 心の病気で休業した場合、その間の生活保障はどうなるのでしょうか?

Q. うつ病のため、主治医から仕事をしばらく休むように言われたのですが、どうすればいいでしょうか?

Q. 部下から「最近、うつで通院をはじめた。」と打ち明けられました。上司として何に注意すればよいでしょうか?

Q. 50歳代の管理職です。最近よく耳にする「うつ」や「適応障害」は、やはり「怠け者」ではないのでしょうか?

Q. 時々、酒臭い状態で出勤する部下がいます。最近遅刻や欠勤が増えてきました。
  どのように対応したらよいでしょうか?


Q. なぜ職場でメンタルヘルス対策をしなければならないのでしょうか?

Q. メンタルヘルス不調を早期に発見するためには、どんな事柄について注意すればよいでしょうか?

 
Q. うつ病はどうしてなるのでしょうか?
うつ病に限らず、ほとんどの精神疾患の原因ははっきりわかっていません。うつ病にかかっているときには、脳内の神経と神経の間で情報を伝える化学物質が減っていたり、神経の状態に変化が起きていたりしているということがわかってきていますが、それが原因で病気が起きているのか、病気の結果そうした変化が生じているのか、まだわかっていません。うつ病は、精神的なストレスや過労がきっかけになって起こることが多いのですが、きっかけがはっきりしない場合もあります。


 
Q. うつ病はどの程度よくなると働けるようになるのでしょうか?
うつ病で働けなくなるのは、その症状のためです。まず睡眠障害があります。うつ病に比較的特徴的なのは朝早く目が覚めることです。暗いうちに目を覚まして眠れません。そしてうつ病の症状で最も特徴的なものは、気分の憂鬱さです。特に朝目覚めたときから日中にかけて気分が憂鬱になります。朝早く目が覚め、そのときすでに気分は憂鬱なのです。そして出勤する時間になっても布団から出られません。目は開いているのですが、憂鬱で仕事に行く気力が出てきません。がんばって職場に行っても気力がなく、集中力もありません。仕事を進めるのに時間がかかり、ミスが目立ちます。つまり気力、集中力、思考力が低下し、ひどい場合には一日中ボーっとして何も考えられません。このような症状が出てくると休職になります。


 
Q. 統合失調症と診断された方は就業できるのでしょうか?
この病気を持ちながらたくさんの方が就業しておられます。統合失調症だから就業できないということはありません。しかし、二つのことが就業の障害になることがあります。ひとつは統合失調症の影響で働く能力が落ちている場合です。その場に居ない人の声が聞こえるとか、誰かに操られるといった陽性症状が活発だったり、意欲低下が著しくて、とても疲れやすいなどの陰性症状が強かったり、仕事の指示が頭に入らずミスが多い、対人関係が負担になりやすいといったことがあると就業が難しい場合があります。その場合はまだ治療に専念する必要があるかもしれません。しかし、症状があっても短時間労働であれば勤まるかもしれません。もうひとつの障害は、周囲の差別や偏見です。上司や人事担当者に統合失調症に対する理解がなくて、病気を理由に差別されることがあります。現状ではそうした危険性があるので、上司や人事担当者に病名を伝えるのは慎重さが要ります。


 
Q. 仕事以外では元気なのにうつ病でしょうか?
結論からいうと、そのような場合がありえます。なぜかというと、うつ病という病態には生活状況にしっかりとねざした場合とそうでない場合があり、この前者の場合がご質問のケースとなりうるからです。生活状況といっても、仕事、学校、家庭などさまざまですが、特に仕事の場面、例えば、職場の人間関係、仕事の内容などにかかわってメンタルヘルスが不調になる方は最近特に増加しつつあります。

(症例)
事務系職場に勤務するAさんは既婚、物静かで実直な中間管理職。職場の人望も厚く、部下からも慕われています。しかし、自分の仕事が立て込んでいるのも構わず、上司であるB課長が一方的に指示を出してくるので、自分のペースがいつも不安定になってしまいがちです。決算期を迎え B課長も忙しそうで、自分が仕事を拒めば手一杯な部下ももっと困るということが明らかなので、あからさまにノーともいえません。ついには休日出勤でこなしていましたが、いつしか朝、職場に出勤しようとすると頭痛、下痢がはじまり欠勤がちとなりました。奥様の勧めでようやく精神科を受診しましたが、診断は 「消耗性うつ病」でした。

このような場合、まずは職場から離れ自宅で休養し、こころの中から仕事のしばりをほどき、ゆるめ、こころの自由度を回復することが大切なケアとなります。このようなケアの効果がでてくると次第にAさんも元気をとりもどし、家庭では元気に過ごすことができるようになります。

この段階を経て、さらに回復度が高まると、Aさんも再び職場でがんばろうという意欲がでてくることになります。復職には、上司との関係、仕事の見直しなど勤務環境調整が大切なことは言うまでもありません。
ということで、うつ病の病態は生活場面、生活状況のある種の要因と深く関わっていることがあります。ですから、仕事場とそれ以外の場所でご本人の様子が大きく異なる場合は、むしろ病気の特徴をよく反映しているという場合もありえます。
メンタルヘルスの不調は身体面の病気と異なり目にみえず、しばしばさまざまな誤解を生みます。病状の内容は一面だけでなく、生活全体から総合的に判断することが重要です。


 
Q. 何種類もの薬を数年のんでいますが、いっこうに治りません。このまま飲み続けるべきでしょうか?
精神疾患の治療では、薬物療法と精神療法が原則です。短期間で自分の力で回復できる不調もありますが、慢性疾患のように比較的長く続く不調が多く、治療としての投薬期間も長くなることが多いのです。治療開始当初は出来る限り少ない薬で、回復してくれば薬を減らし中止する方向に向かいます。しかし、症状の改善が進まず、逆に調子が悪くなると、薬の量を増やしたり種類を増やす工夫をします。細菌性の肺炎などであれば抗生物質を用いて治療が行われます。程度が軽ければ、効果が期待できる経口の抗生物質の投与が行われます。しかし、病状が重いと入院して注射での抗生物質投与となります。この場合は、薬が効くかどうかの感受性検査をして、効果が確実と思われる薬剤の投与が開始されます。このように治療前の生物化学的な検査が出来るとよいのですが、残念ながら精神科の治療薬は、事前の薬効を十分に予測できる手段はなく、臨床医(主治医)の知識と経験などにより、状態に一番適した薬剤を選択して投薬されます。この判断には、患者さんご自身からの症状の訴えが大切で、不調の様子を的確に伝えていただく必要があります。もちろん、辛くて言葉も発せられないなどの状態は、主治医として把握します。このようにして薬剤を決め投薬されているのに、効果が十分にみられないことも多々あります。薬剤の量が少ない、薬剤が症状に合っていない、などは当然考えられることです。しかし、特に精神症状(悲哀感、無力感、意欲の欠乏など)のいくつかは、薬剤だけでは改善し難いものもあります。その精神症状が脳の代謝の変化によるものでなく、気持ち・心理の変化によるものですと、薬効を期待し難いものです。漫然と服薬を継続することは注意を要しますが、症状を良くするためには服薬は必要でしょう。また良くならなければセカンドオピニオン(他の医師の診断)を求めることも一つの方法でしょう。


 
Q. セカンドオピニオン(他の医師の診断)を希望していますが、今の先生に話すともう診てもらえなくなるのではないか心配です。どうすればよいでしょうか?
一般の主治医なら承諾してくれると思います。セカンドオピニオンのための紹介状には、症状や処方内容の経過、その効果や副作用なども記入することがあり、まとめるのに手間や時間が必要です。紹介状= 情報提供書をご希望の日に、その場で書けない場合が多いものです。このことをご承知いただければ、ほとんどの担当医がセカンドオピニオンのための書類を調えてくださるでしょう。セカンドオピニオンを引き受けてくださる医療機関では、別の視点からの意見を出されます。この意見をそれまでの主治医に伝えて、その後の治療を続けることも可能です。また心機一転して別な医療機関での治療を受けることも可能でしょう。本人の病状をよくすることが第一です。しかし、ドクターハンティングなどと言われますが、本人が良い治療をされていないと感じて、医師を次々と変えていくことも見られます。その結果、計画的・継続的な治療が尻切れトンボになり、病状がよくなり難いこともあります。精神疾患では、せめて3〜6か月程度は同じ医師の治療を継続されるほうが良いでしょう。セカンドオピニオンや転院にはご自分の考えだけでなく、ご家族や担当医の意見も参考にしましょう。


 
Q. 事業場内に相談窓口を設置する際に具体的にどのようなことに留意したらいいでしょう?
厚生労働省は平成18年3月31日に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を公表しています。その中で事業場内産業保健スタッフ等や事業場外資源による相談窓口の設置や対応について記述しています。 事業場内に相談窓口を設置する場合、以下の点に注意が必要です。

(1)相談内容に関する個人情報への配慮が必要です。
産業医等の産業保健スタッフは、相談窓口となる場合、健康情報を含む個人情報の取扱いに特に留意する必要があります。産業医等が個人情報を事業者等に提供する際は、提供する情報の範囲と提供先を必要最小限とすることが必要です。その一方で、産業医等は、相談に来た労働者の健康を確保するための就業上の措置を事業者が行うために必要な情報が的確に伝達されるように、集約・整理・解釈するなど適切に加工した上で事業者等に提供する必要があります。事業者側からみた場合には、メンタルヘルスに関する労働者の個人情報を取り扱う際には、診断名や検査値等の生データの取扱いは産業医や保健師(法律によって守秘義務が課されています)等に行わせ、特に誤解や偏見を生じるおそれのある精神障害を示す病名に関する情報は、慎重に取り扱うことが必要です。これらが守られない相談窓口は、労働者から利用されなくなることが考えられます。

(2)相談窓口の設置を十分に周知することが必要です。
労働者にとって普段から相談窓口を意識しているわけではなく、困ったときに初めて相談することが考えられます。そのため、労働者への周知は定期的に、かつ、さまざまな機会を捉えて、繰り返し行ったほうがよいでしょう。また、労働者の不調に気がつくのは家族であることも多く、社内報や健康保険組合の広報誌等を通して相談窓口について家族へ周知しておくことも大切です。

(3)常時使用する労働者が50人未満の小規模事業場の場合は、産業医等の産業保健スタッフがいないことがあります。
その場合は、衛生推進者が中心となるとともに、地域産業保健推進センター等の事業場外の資源を十分に活用して、相談窓口機能を整えておくことが大切です。


 
Q. 管理監督者が部下のメンタルヘルスの問題で困った際には誰に相談すればいいのでしょう?
管理監督者は職場の部下の管理を担当していることから、部下の日常的な変化を最初に気がつくことも多く、メンタルヘルス問題では対応のキーパーソンになることも多いといえるでしょう。相談先として以下が考えられます。

(1)事業場内の健康管理室(産業保健組織)等の産業保健スタッフ
事業場内に健康管理部門がある場合は、まずはそこで相談するのがよいでしょう。産業医や保健師等の産業保健スタッフが、メンタルヘルスの問題を含む健康に関係した問題の最初の窓口となっていることが多いといえます。

(2)事業場内の衛生管理者等
健康管理部門が常駐ではない等のため直接相談がしにくい場合は、事業場の衛生管理者を通して相談するのがよいでしょう。事業場によっては衛生管理者が相談窓口を担当していることもありますので、確認してみましょう。

(3)事業場外の相談窓口等
事業場により、外部の専門的な相談窓口と契約をしている場合があります。また、常時使用する労働者が50人未満の小規模事業場では地域産業保健推進センター等を活用することが推奨されています。このような情報も事業場の担当者に確認してみましょう。

(4)事業場の人事総務担当者等
上述したような対応が難しい場合は、事業場の人事労務担当者や安全衛生の担当者と相談をしてみましょう。メンタルヘルスの問題においては労務管理上の問題(欠勤や遅刻等)が発生していることも多く、勤務管理上のルールを確認しながら対応することも大切でしょう。

いずれにしても、管理監督者が一人で対応できることには限界もありますので、一人で背負いこまないことが大切です。また、個人の情報についてはプライバシーに配慮し、必要な人以外の人に広がらないように取扱いには十分注意しましょう。


 
Q. 会社が契約している相談機関の電話相談やメール相談を利用したいのですが、相談内容などは会社に分かってしまうのでしょうか?
会社が契約している相談機関などでは、一般的に、問題解決のために相談・助言・援助を行うための専門的訓練を受けた臨床心理士などの有資格者が相談に対応します。これらの専門家は、相談者の人権や生命を守るために遵守すべき職業倫理についても十分に教育を受けており、この職業倫理の中で大切なものの1つに『守秘義務』があります。

『守秘義務』とは、職務上知りえた秘密や相談内容を正当な理由なく他人に漏らしたり利用したりしてはならないというものです。医師などの医療関係者の場合は刑法などに定めがあり、さらに労働安全衛生法にも健康診断や面接指導の実施の事務に従事した者に対して守秘義務が定められています。臨床心理士などのいわゆるカウンセラーは国家資格ではないので、それに特化した法的規定はありませんが、倫理的義務だけでなく法的責任も負うと理解されています。

相談に当たっては、何よりも相談者と専門家との間の信頼関係が基礎となり、これを保障するのが守秘義務です。この義務に違反すれば、信頼関係が壊れ、相談自体が成立しなくなります。


 
Q. 私は派遣労働者ですが、派遣先の産業保健スタッフに相談できるのでしょうか?
派遣労働者の健康管理(健康への支援)は、派遣元事業場と派遣先事業場との間で役割分担をすることが、法で定められています。一言で言えば、現場での具体的な仕事に関連する事柄については派遣先、それ以外の健康問題は派遣元が主として担当することになっています。わかりやすい例が健康診断で、年に1度の定期健康診断は、派遣元が費用を出して行い、有機溶剤などの作業現場の有害因子による健康影響をチェックする特殊健康診断は、派遣先に実施義務があります(両者が連携して実施すべき事柄もあります)。ストレスや心の健康問題に関する相談の場合も、それに準じて考えればよく、派遣元の産業保健スタッフに相談するのが一般的といえましょう。派遣先事業場で、相談室が相談の内容にかかわらず派遣労働者にも開放されており、ご本人が希望するのであれば、利用してもよいと考えられます。ただし、その場合、相談内容がどの範囲に知られるのか(一切誰にも知られないのか、上司に当たる人には一部報告されるのか、派遣元事業場にも伝えられるのかなど)をあらかじめ確認しておき、納得した上で利用することをお勧めします。


 
Q. 以前から晩酌の習慣がありますが、最近はよく眠れないために寝酒として飲むようになりもう1か月になります。このまま続けていて大丈夫でしょうか?
まずは会社の産業保健スタッフ、あるいは外部の精神科や心療内科などの専門機関を受診し相談されることをおすすめします。必要に応じて睡眠薬が処方されることもあります。眠れない原因がうつ病などの症状による可能性もあります。たまに飲酒することで寝入りをよくする効果はありますが、常用したり大量に飲んでしまうのはかえって逆効果であり、睡眠の質が悪くなってしまいます。また、アルコールは耐性を生じやすいので、毎日飲んでいるとだんだん量を増やさないと眠れなくなってしまい、アルコール依存症や肝臓などの臓器に障害を起こす危険もあります。睡眠薬よりお酒のほうが安全と思われるかもしれませんが、快眠のためには飲酒(寝酒)よりも、医師の指示にしたがって服用する睡眠薬のほうがはるかに効果があり安全です。


 
Q. 心の病気で休業した場合、その間の生活保障はどうなるのでしょうか?
健康保険組合の被保険者は、所定の申請書に医師の労務不能という意見及び事業主の不就業日数とその賃金についての証明をもらって申請すると、連続3日の休業(待機期間という)後の4日目から1年6か月(退職後も含む)までは標準報酬日額の2/3に相当する傷病手当金が支給されます。企業の手当や他の公的給付が支給されている場合は、その分が減額されます。業務上疾病の場合は、労災保険からの休業給付があります。身体の病気も同様です。


 
Q. うつ病のため、主治医から仕事をしばらく休むように言われたのですが、どうすればいいでしょうか?
うつ病が回復するためには服薬と休養が重要です。仕事の心配はあるかもしれませんが、仕事をしばらくお休みして休養をとることによりうつ病の回復が望めます。うつ病が悪化すると業務遂行力も低下するため、仕事に影響がでたり、また仕事をし続けることによりなかなか回復しない可能性もあります。そのため、早期に職場の上司に相談をして仕事をお休みさせてもらうことが望ましいでしょう。また、仕事をお休みする際には、職場の休暇の制度や経済的な保障の制度などについても確認をしておくとよいでしょう。


 
Q. 部下から「最近、うつで通院をはじめた。」と打ち明けられました。上司として何に注意すればよいでしょうか?
定期的な通院を支援して早期治療を図ります。産業医に相談して、就業上の措置の要否について意見を求めます。保健師や衛生管理者など事業場内メンタルヘルス推進担当者に連絡し、必要に応じて、産業医を介して主治医の意見を尋ねます。その際、プライバシーの保護に配慮し、連絡する必要がない者には言わないように注意し、同僚などへの情報開示では本人の意思を尊重します。職場や業務に原因がないか検証し、必要があれば再発防止を図ります。


 
Q. 50歳代の管理職です。最近よく耳にする「うつ」や「適応障害」は、やはり「怠け者」ではないのでしょうか?
「うつ」や「適応障害」の人は、身体障害がない限り、歩けますし、話も出来ます。一見してはどこも悪くないように見えます。それでいて遅刻したり、休みがちであったりするので「怠け者」とみなされがちです。しかし、「うつ」や「適応障害」はけっして「怠け者」ではありません。それどころか深刻な状態です。
「うつ」に多い症状は"億劫さ"と"疲れやすさ"です。「適応障害」に多いのは"職場で強い緊張や不安を感じること"です。"そんなことは根性で克服出来る筈だ"と思ってしまう人が少なくありません。しかし"根性で克服"しようとしてもうまくはいきません。それどころか、かえって自信を失い、自責感が強まり、状態が悪くなるでしょう。
残念ながら、「うつ」の人の約2割の人は慢性化します。また、一旦治っても再発する人が少なくありません。「適応障害」も慢性化しがちです。症状の改善を早め、慢性化を防止し、再発を防止するためには、薬物療法と併せて認知行動療法などの心理的なアプローチなどが、効果があります。


 
Q. 時々、酒臭い状態で出勤する部下がいます。最近遅刻や欠勤が増えてきました。どのように対応したらよいでしょうか?
アルコール依存症、またはその前段階であることが考えられます。放っておかずに個人面談の場を持ちましょう。産業保健スタッフがいる場合には、彼らと連携するようにしましょう。面談では、本人が問題を自覚できるよう、出勤記録などをもとに、遅刻や欠勤の頻度が客観的にわかるものを用いて話し合いを行うとよいでしょう。問題飲酒がある場合はアルコール症の専門機関を受診していただく必要がありますが、一方、本人が飲酒による問題を否認することもしばしばあります。その場合、しばらく様子をみざるを得ないこともありますが、次回、遅刻や欠勤をするなど問題行動がみられた場合は必ず受診をしてもらうことや、家族と連絡をとるなどの約束を交わしておくことが重要です。問題を先送りにしたり、大目にみてあげたりするのは適切でありません。


 
Q. なぜ職場でメンタルヘルス対策をしなければならないのでしょうか?
企業は、労働基準法や労働安全衛生法などの労働関係法令によって、従業員の健康管理義務を負っており、従業員のメンタルヘルス管理も労働法制内に含まれています。近年では業務に起因するうつ病などのメンタルヘルス不調により自殺に至り、企業の安全配慮義務違反や社会的責任(CSR)等が問われ、民事訴訟では非常に高額な賠償命令が出されるなど、リスクマネジメントの観点からも企業の対応が進められています。自殺に至る事例の増加などから、わが国ではガイドラインや法整備強化を図って対策を講じており、主な対策強化として、平成17年10月の労働安全衛生法改正によって「長時間労働者の医師による面接指導の義務化」がなされ、平成18年3月に「労働者の心の健康保持増進のための指針」を公表しています。また、同年6月には自殺対策基本法が制定されて国や自治体が取組みを始めています。平成19年12月には労働契約法が制定され、事業者の労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)が明文化されました。


 
Q. メンタルヘルス不調を早期に発見するためには、どんな事柄について注意すればよいでしょうか?
厚生労働省は、平成18年3月31日に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を公表しています。その中で事業場内産業保健スタッフ等や事業場外資源による相談窓口の設置や対応について記述しています。事業場内に相談窓口を設置する場合、以下の点に注意が必要です。

(1)早期発見のための体制の構築
メンタルヘルス不調を早期に発見するためには、日頃より関係者が速やかに連携することが重要です。まずは日頃より接している周囲の人がその人の「いつもと違う様子」に気づくことが重要です。その際は、勤怠状況や仕事ぶり、表情・態度などの変化に注目することが大切で、病気かどうか判断する必要はありません。そして早めに声をかけゆっくりと話を聞き、産業保健スタッフや社外の相談窓口への相談を促します。相談を受けた産業保健スタッフや外部の機関では、専門医療機関受診の必要性を判断して、必要な場合には受診を促します。

(2)日頃のメンタルヘルス対策における留意点
産業保健スタッフは、周囲の人がいざというときに適切に行動できるように、メンタルヘルス教育やパンフレットの配布を通じて、啓発しておく必要があります。また安心して相談できるように、個人情報保護への配慮を徹底することも大切です。速やかな受診に結びつけるためには、周囲の医療機関とのネットワークを築いておくことも重要です。相談窓口は、産業保健スタッフが務めれば、職場での配慮につながるなどのメリットがあります。一方で事業場内への相談に抵抗を感じる人もいます。そのような場合は事業場が外部のメンタルヘルスサービス機関などと契約しておけば、相談窓口の選択肢が多くなり、相談の敷居も低くなります。外部の機関であれば家族からも相談しやすくなります。